はじめに

羽田空港の夜。
まだ日本にいるはずなのに、
もう戻れない時間が始まっていた。
今回の旅は、
何かを得るためというよりも、
自分の感覚を確かめるためのもの。
その最初の1日が始まった。
ヒースロー到着|流れに乗る

ヒースロー空港に到着して、まずやったことは
「考える」ことではなく、「流れに乗る」ことだった。
人の流れに合わせて歩く。
日本人らしき人の後をついていく。
そうして進んでいくと、出国手続きの場所にたどり着いた。
ゲートは日本の国旗が表示されている場所を選んだ。
待ち時間もなく、スムーズに進む。
ただ、パスポートの読み取りでエラーが出た。
何度か試しても通らない。
係員を呼んで再度トライする。
「グラス」と聞こえた。
メガネを外すと、通った。
一瞬焦ったが、無事入国することができた。
驚くほどスムーズだった。
ロンドンへの移動|確認しながら進む
荷物も10分ほどで受け取ることができた。
そのまま出口へ進んだが、
チケットと荷物の照合がなく、少し不安になる。
エクスプレスの乗り場を探す。
案内表示が分かりづらく、
本当に合っているのか不安になる。
途中、係員にチケットを見せて確認しながら進む。
5分ほど待つと列車が来た。
事前に見ていた写真と一致していたので、確信して乗ることができた。




Paddington駅に到着。
大きな駅で、
ここで少しだけ気持ちに余裕が出てきた。
地下鉄と街|ロンドンに入る
そこから地下鉄へ。
Googleマップを使いながら進む。
切符を買う必要もなく、クレジットカードでそのまま乗れる。
朝の通勤時間と重なり、車内は満員だった。
その中で、「どうぞお先に」(英語でそんな感じ)と声をかけてくれた人がいた。
その一言で、この街の印象が決まった気がした。
Piccadilly Circusで下車。
予定通り8:50にホテルに到着し、荷物を預けることができた。
大英博物館まで|余白の時間
ホテルから大英博物館までは徒歩20分ほど。
近づくにつれて人が増え、
予約していないことに不安を感じる。
ラッセルスクエアのベンチに座り、
その場で予約を取ることにした。
最短は11:40。
時間ができた。
この余白を使って、
サー・ジョン・ソーンズ美術館へ向かう。


個人の邸宅にコレクションが並ぶような空間。
部屋は広くないが、密度が高く、
絵画・彫刻・建築などが混在している。
ここで初めて「観る側」に切り替わった気がした。
大英博物館|人の時間を見る










11:40から16:00まで滞在。
特に印象に残ったのはオリエント文明の展示だった。
壁画の浮き彫りの繊細さに驚く。
ロゼッタストーンも見た。
文字は刻まれていると思っていたが、
実際には浮き彫りになっていた。
ここで感じたのは、
この場所はモノを展示しているのではなく、
「人間の時間」を並べている場所だということだった。
ロンドンの印象|街の呼吸
ロンドンの街は、
思っていたよりも落ち着いていた。
人で溢れているわけでもなく、
せかせかしていない。
親切で、危険な感じもない。
すぐに馴染めた。
天気も印象的だった。
曇り空。
突然の雨。
そして、雲の隙間から差し込む光。
一度街が洗い流され、
光で再構築されるような感覚。
古い建物と街路樹の緑、
そこにロンドンバスの赤が差し込まれる。
そのコントラストが美しかった。








食と現実|判断する
昼食をどうするか迷った。
どの店も円安の関係で高く感じる。
日本の2倍くらい。
結局、昼は食べなかった。
夜も中華街に行こうと思ったが、決めきれない。
最終的にスーパーへ。
サンドウィッチ、パスタ、ビール、ワインを購入。
瓶ビールを選んだが、栓抜きがない。
(缶ビールよりちょっと安い)
店員に聞くが、無いと言われる。
諦めかけたとき、
お土産屋で見たキーホルダーを思い出した。
あれに栓抜きがついていた。
些細なことだが、この閃きがうれしかった。
ホテル|1日の終わり
ホテルに戻り、チェックイン。
タブレット入力に少し手間取るが、なんとか完了。
エレベーターでカプセルフロアへ
初めてすれ違ったのが女性で一瞬戸惑うが、
(日本では、男女で階が違う)
特に注意されることもなかったので、そのまま自分のカプセルへ。
(その後、男性客ともすれ違ったので安心した)
ようやく落ち着く。
ビールを開けて飲む。
いつも飲んでいるアサヒスーパードライが、
無事にここまでたどり着けた安心感と、
ちょっとした達成感で格別なものとなった。


おわりに
この日は、8時間(時差で)長い1日だった。
でもそれは、疲れというよりも密度だった。
流れに乗る。
迷う。
確認する。
判断する。
閃く。
やっていることは、制作と同じだった。
ロンドンを見ているつもりだったが、
実際には、自分がどう動くかを試されていた1日だった。